渡豪前は、ここまでたくさんの経験ができると思っていませんでした。何しろ、3ヶ月間くらい居られれば良いかな、と思っていたくらいなので。

 それでもメルボルンでの生活が落ち着き、気付けば10ヶ月が過ぎ。海外生活にも慣れてきたと思った頃には、あっという間に1年間が経過していました。他のビザを変えるなりして、もっと長く豪州に居ることもできますが、“1年間”という区切りをつけて、ビザが切れる日に合わせて、パースから帰国しました。

 こんな風に、密度の濃い1年間を過ごすことができたのは、不安よりも期待を信じて行動し、そこで多くの人との出逢いがあったから。そして自分自身も諦めないで貪欲に挑み続けたからだと思います。

豪州最終日に見た夕日
スカボロビーチにて友たちと

 何かの情報を得たとき、それを100%信じてしまうのは良くない思っています。自分の目で確かめて、自分の心と肌で感じて、初めてその真実を知ることができるから。

 人から聞いたことは、あくまで参考で、決して情報だけに惑わされないこと。道を切り開いていくのは、自分自身だし、せっかくの機会を逃してしまうようなことはしたくないから。と、そんな風に思います。

 帰国前は、1年間離れた日本の社会について行けるのか、たった1年とは言え、新しく変わったであろう日本に馴染めるのか、かなり不安でした。ただ、1年間、“外”を見てきた分、帰国後はしっかり日本に根をおろして、生きていこうという気持ちはありました。

 帰国した次の日、早速ハローワークへ足を運んでみることに。どんな仕事がしたいというのは、ただただ漠然としていましたが、しっかり定職に就きたいという思い、そして何より今まで心配をかけてきた両親を少しでも安心させたいという思いがありました。

 就職活動を始めてすぐの頃、現在の勤め先である会社を知り、幸運にも入社が決まりました。帰国して1ヶ月もしない内に仕事が始まり、本当にタイミングが良かったと思います。

 業務上、常に英語を使うこともなく、ファームでの生活や旅の中で鍛えられた体力を使うこともありませんが、自分が興味ある仕事ができている今、本当に幸せだと感じています。もちろん楽しいばかりではありませんし、日々の努力が必要ですが、毎日が充実していて、今後が楽しみです。

ヤラ川から眺めるメルボルン
Time flies...

 日本の社会から見れば、「ただ1年間遊んできた」と、捉えられてしまうこともあります。しかし、1年間の豪州滞在を通して得たもの、身についた力は、きっとこの先、生きていく上で大きな糧になると思います。

 -お金を貯めて、準備して、行って、過ごして、帰ってきた- ただそれだけのことですが、大きな自信にもなりました。もちろん自分だけの力が全てではなく、滞在中、多くの人の助けがあったのは、言うまでもありませんが、たくさんの人と出逢い、たくさんの優しさ・温かさに触れて、たくさんの思い出ができました。本当に感謝しています。ありがとう。

 最後に、ここまで読んでくださったみなさん、ありがとうございました。どこまで伝えられるのか不安もありますが、私が見て感じてきたこと、経験してきたことを私なりに表現しました。少しでも何かを感じ取っていただけたのなら、幸いです。

 みなさんの夢は、何ですか?